組み込みセルフテスト (BIST) の診断

自動車内の電子コンテンツは過去数十年にわたって着実に増加しており、業界が完全自動運転車の開発に向けて突き進んでいるため、減速する気配はありません。 先進運転支援システム (ADAS) は、一般的にドライバーと同乗者の安全性を向上させてきましたが、誤動作や設計上の欠陥があると、危害を及ぼす恐れがあります。 安全性が重視される自動運転システムの設計と実装に関するベスト プラクティスは、ISO 26262:2011 規格で体系化されています。

Allegro は、自動運転ソリューションの提供に取り組んできた長い歴史を持っており、独自の特許取得済みの自己診断機能を組み込んだ 磁気センサーによって、安全性向上のニーズに応えています。 これらのセンサー IC には、磁気スイッチポイントのドリフトなどの、内部誤動作を検出して報告する機能があります。 これらは、安全性が重視される用途での冗長センサーの必要性を解消するか、冗長センサーが必要な安全性が重視される用途 (ドライブバイワイヤ システムなど) における堅牢性を高めます。

図 1 に示したのは、診断機能が統合されたホール効果スイッチのブロック図です。

図 1: 診断機能が統合されたホール効果スイッチ


この機能の初期の実装では、図 2 に示すように、平面ホール効果センサー素子の上に配置された時期コイルが追加されました。これらのコイルは、ウエハー製造プロセスの一部としてフォトリソグラフィを使用して作成されました。 これらのコイルは、通電されると、ホール素子で感知できる磁場を生成します。 これにより、IC の磁気および電気の信号パス全体が稼動し、機能が確認されます。 この技術のその後の実装では、垂直ホール効果センサーを使用し、ホール素子に注入される磁気テスト信号ではなく電気テスト信号を使用しました。


図 2: 組み込みセルフテスト (BIST) を備えた IC 内の平面ホール センサー要素上のコイル


いつでも信号パスを通常の動作モードまたは診断モードにすることができます。 診断モードは、ホスト システムから要求されたときにトリガーすることも、自動的に実行することもできます。 自動操作の場合、センサーは、磁場のサンプリング、出力の更新、セルフテストの実行を交互に繰り返します (図 3 を参照)。 これにより、出力遷移の遅延またはジッターが発生し、センサーの時間領域の動作に影響を与える可能性があります。


図 3: BIST タイミング図

ただし、Allegro センサー IC の世代が進むにつれて、セルフテストの実行に必要な時間はますます短くなり、現在ではマイクロ秒単位で測定されます。 統合診断機能を搭載した Allegro の最新の磁気センサーは、バックグラウンドで実行される継続的かつ自動的な組み込みセルフテスト (BIST) を備えています。この機能は、故障が検出されない限りホスト システムに対して透過的です。 この機能や他の革新的な機能を使用して、安全性が重視される用途向けにセンサーとパワー IC のファミリーを生み出してきました。